①マニカルニカー・ガード
朝のガンジス河の後、ホテルに戻り、朝食・朝寝をした後に、今後は今回の旅のハイライトである「マニカルニカー・ガード」に行くこととした。
ガンジス河の周りには、ガート呼ばれる沐浴場や火葬場が65もある。
マニカルニカー・ガードは、最も有名な火葬場の1つだ。朝のガイドは、ボートからしか観れないと言っていたが、そんなことはまったくなかった。ボートに乗らせてまた儲けようとの魂胆なのだろう。
火葬場に近づくと火葬に使う蒔が山盛りに積まれていた。側にいた少年が、「観光客は中に入れない、観光客専用の天文台に上がってくれ」と言うので、天文台に上ることとした。
蒔の山と天文台
天文台の中には、老人達が4~5人座っていた。
彼らは、身寄りもお金もない人たちで、このマニカルニカー・ガートで、自分の死が訪れるのをずっと待っている。火葬に必要な蒔代をもらうため、観光客からの寄付を期待しているのだ。
火葬に必要な蒔代は高い。蒔は、1キロ150ルピー~350ルピー(450円~1050円)。一体焼くのに、250キロの蒔が必要らしい。インドの物価と照らし合わせるとむちゃくちゃ高い。
天文台から火葬場をみていると、次々に竹の担架に金色の装束をかけられた遺体が運ばれてきた。
遺体はガンジス河に浸された後、金色の装束が外され、白い布を巻かれた状態で、蒔の上で荼毘に付される。ミイラのようなものが、蒔の上に乗せられるイメージだ。遺灰は、河に流される。
蒔の上で焼かれている顔がみえる遺体。
薪の中から、飛び出している片足。
遺体が次々と運び込まれる。そして、ガンジス河に浸される。
身寄りがないのか、誰にも見守られない中で燃やされている死者。
荼毘に付される最期の瞬間まで、たくさんの親族に囲まれ、携帯で写真を撮られていた死者。
死者が煙となり、天文台のところまで上がってくる。
煙はサンダルウッドの香りがする。サンダルウッドの中に、人間の匂いが紛れている。
ガイドが、淡々と説明しているのを聞きながら、この光景にしばし呆然となる。時が経つのも忘れて、見入ってしまう。
しばらくして、ガイドが、身寄りのない老人に蒔代を寄付して欲しいと言ってきた。騙されているのはわかっていたが、こんな状況を目の当たりにしてはお金を渡さざるを得ない。いくら渡すか迷っていると、老婆が、私の頭を叩きながら家族のことを祈ってくれた。老婆の目は温かかった。同僚達と相談して一人150ルピー(450円)を渡すと、また老婆がお礼にと、祈ってくれた。でも、額が少ないのにがっくりしたのか、ムスッととした顔つきで、めんどくさそうに私の頭を叩いた。さっきの祈り方とは随分違う・・・。
天文台を降りると、またもやガイドが「もし良かったら寄付をして欲しい」と言う。この国は、どこでも金、金を要求してくる。「ありがとう」と言って、その場を断ち切った。
火葬場に行けないというのも本当は嘘だ。彼らの商売のために、天文台に引き寄せているだけなのだ。案の定、火葬場には簡単に行けた。写真はもちろん禁じられているが、みるだけなら問題ない。すると、またもやインド人が近寄ってきて、天文台に上がれという。
生きていくために必死にお金を巻き上げようとする生者と、蒔の上で荼毘に付される死者。
ここでは死は特別なことではなく、生きることと同じ日常のあたり前の出来事なのだ。
②サールナート観光
マニカルニカーを後にして、再びホテルに戻り、バナラスからサールナートという所に向かった。ホテルから車を借りたのだが、なぜかホテルのマネージャーが我々に同乗してついていくと言う。理由を尋ねると、運転手が料金を不正に請求することがないよう監視するのだと言う。疑わしい奴だったが、どうしても居座るので仕方なく一緒に向かった。
サールナートとは、仏陀が初めて説法をした所で、仏教徒の聖地だ。
木々の緑と広々とした芝生が美しい遺跡や博物館があり、掃除も行き届いていて、先進国のように綺麗なところだった。
鹿公園の中に入り、仏教の遺跡群をみた。説明や案内がまったくないので、何かよくわからなかったが、祭壇らしきものや、僧侶が泊まったと思われる部屋らしきものがあった。遺跡群ではあるが、公園のようにもなっていて、子供達がたくさん遊んでいた。
もちろん、こんなところにも物乞いはいて、仏像の置物を売りにきたり、まだ小学1年生くらいなのに、ガイドをするよと寄ってきたりする。
鹿公園という名前のとおり、鹿もいた。奈良にも鹿が一杯いるが、鹿と仏教はなんか関係があるのかしら?
鹿公園のあとは、考古学博物館に行った。展示物は仏教関連のものばかりで、仏像はしっかりとした状態で残っているものが多かった。
この博物館にいる職員のインド人が「この仏像はベリーナイスの仏像だからお祈りしなさい」という。言われるがままにお祈りをして、そのインド人の話を1分程度聞いていたら、案の定、最期に「ガイド料くれ」と言ってきた。あんた、公務員の癖にお金要求するの?もちろん、無視したけど。
③マネージャー、やっぱりあなたも。
サールナートを後にして、空港に向かった。朝が早かったので、車の中で同僚達は熟睡。私も眠かったが、なるべく起きて車窓見物をしていた。
空港に着くと、同乗していたホテルのマネージャーが「もしよかったら、運転手にチップをあげてください」と言ってきた。「昨日からこの運転手はあなた達を担当している。タージガンジスホテルにも連れて行ったし」とかなんだかんだ言っていた。予想どおりの展開だ。このマネージャーは、ホテルの会計に含まれないチップ代を横取りするためについてきたのだ。面倒くさいからチップは渡した。
飛行機はなぜか予定よりも早く出発し、夕方7時頃、ムンバイヒルトンに到着。
帰還後、「楽しかった?」とよく聞かれますが、荼毘に付される死者をみて、楽しかったなんて言えません。でも、行って良かったと思う。
「生と死を身近に感じる旅」でした。
おわり
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